8年前

2/4

161人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
ざわざわ、ざわざわ。 窓の外の葉っぱたちが騒がしい。 放課後、西棟の階段の踊り場で、 のんびり読書していた。 高校に入り最初のゴールデンウィーク前、 なんとなく皆んな慌ただしくて。 帰りがけ、いつも一緒に下校してる佳純が 突然、生徒会の手伝いを命じられ。 それは佳純のお姉さんが書記だからで、 私はこうして、それが終わるのを待つ。 『私も手伝いましょうか?』 …そう言えればいいのに。 自慢じゃないけど、激しい人見知りで。 しかも先輩とだなんて、 まともに話せる気がしなくて。 こうしてコッソリ隠れているのだ。 西棟の階段を使う人はあまりいないから、 誰にも気づかれないと思っていたら、 「ねえ、何してんの?」 その人は、当然のように声を掛けて来た。 へ、変な女だと思われてるかな。 こんな暗いところで、本なんか読んで。 携帯ゲームとかの方が普通っぽいよね。 返事に困っているとその人は、 二段とばしで階段を駆け上がってきて、 私の隣りにチョコンと腰を下ろす。 たぶん運動部なのだろう。 Tシャツに短パン姿で、軽く汗ばんでる。 ふわふわの前髪、射るような眼差し、 柔らかそうな唇、長い脚。 「なんで一人で本なんか読んでるの?」 「…と、友達を待ってて」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

161人が本棚に入れています
本棚に追加