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治人といれば、変わっていける。
明るくて、誰とでも仲良くなれて、
素敵な女のコになれる。
…そう思った矢先、交際を申し込まれた。
「由布、俺の彼女になってよ」
「うん!はい!うわあぁ、嬉しいッ」
「喜び過ぎ。俺の方が嬉しいっつうの!」
「うわああ、うわああ」
手足をバタバタさせるほど、嬉しくて。
こんな恋はもう二度とないと思ってた。
男らしくて、決断力があって。
大学進学と同時に同棲すると言っても、
両親が反対しなかったほど、
2人は上手くいってて。
いつか離れる日が来るなんて、
考えたことすら無くて。
他の男性にときめいたことなんか無い。
私には治人だけ。
恋は3年で冷めるとよく聞くけど、
ずっとずっと好きなままで。
治人もそうだと勝手に思っていたのに。
言葉が足りなかったのかな、私たち。
あのとき、ああしていれば。
あのとき、こうしていれば。
…そんな後悔を何度しただろう。
ううん。
きっと全てが決まっていたことなんだ。
陽の当たる場所に連れ出した治人が消え、
私は自分でその場所に立つことを覚えた。
貴方の役割はそこまで。
たぶん、そう決まっていたことなんだ。
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