8年前

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治人といれば、変わっていける。 明るくて、誰とでも仲良くなれて、 素敵な女のコになれる。 …そう思った矢先、交際を申し込まれた。 「由布、俺の彼女になってよ」 「うん!はい!うわあぁ、嬉しいッ」 「喜び過ぎ。俺の方が嬉しいっつうの!」 「うわああ、うわああ」 手足をバタバタさせるほど、嬉しくて。 こんな恋はもう二度とないと思ってた。 男らしくて、決断力があって。 大学進学と同時に同棲すると言っても、 両親が反対しなかったほど、 2人は上手くいってて。 いつか離れる日が来るなんて、 考えたことすら無くて。 他の男性にときめいたことなんか無い。 私には治人だけ。 恋は3年で冷めるとよく聞くけど、 ずっとずっと好きなままで。 治人もそうだと勝手に思っていたのに。 言葉が足りなかったのかな、私たち。 あのとき、ああしていれば。 あのとき、こうしていれば。 …そんな後悔を何度しただろう。 ううん。 きっと全てが決まっていたことなんだ。 陽の当たる場所に連れ出した治人が消え、 私は自分でその場所に立つことを覚えた。 貴方の役割はそこまで。 たぶん、そう決まっていたことなんだ。
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