再び0+1カ月+2週間

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「ごめん、由布。 こうでもしないと、男性スタッフたちが お前を狙ってるからさ」 「え、ああ、うんっ」 ち、近いってば。 そんな顔をくっつけなくても聞こえるし。 「大木さんと稲井田さん、怪しいなあ。 もしかしてデキてるとか?」 少しチャラそうな茶髪の男性スタッフが、 大声で囃し立てる。 それを否定するでもなく、治人が答えた。 「いや、お恥ずかしい。 実は8年ほど付き合ってたんですけどね、 一度別れてしまって。 いま、復縁を迫ってるところなんですよ。 このまま一気に押し切りたいので、 皆さん温かく見守っててください」 ヒュウヒュウ!頑張れよ~!! …と無責任に外野は騒いでいる。 「治人、こういうの困るよ。 私、もうやり直す気は無いのに」 うん、ごめん。 そう言って治人は手を握る。 長い間、手なんか繋いでなかったね。 いつからお互いに触れなくなったっけ。 ベッドでも、背中を向けて寝ていたし。 キスもずっとしてなくて。 「初めて手を繋いだ日、覚えてるか?」 「ああ、うん。相合傘したときだよね」 学校帰りに突然、雨が降り、 私の折り畳み傘に2人で入って。 私が腕を伸ばして傘を持っていたら、 笑いながら治人がそれを持とうとして。
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