平安異譚 もののけ大戦 第一話

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 さて その日の宵になり  検非緯使の邸内より 雷禅 美鈴御前 息子の 陽禅 そして 従者を引き連れて 願の森へ向かいます。 外へ出て 息子の陽禅が「父上 この人たちは なにをしているのですか?」 と 辺りを見回しては言う息子の言葉に 雷禅 美鈴御前ともに首を傾げ??? 雷禅 陽禅の手を繋ぐと なんと どういうわけか 辺りには 衣服いや 身体さえも ぼろぼろの 半透明な人々が  なにをするわけでもなく ぼーっと上や下を見ていたり 目の焦点が合わない。いやその目さえない人たちが。。。大路にて かなりの数が 漂っています。 同じように 手を繋いだ美鈴御前もまた この光景を見て あっと息を飲み 雷禅「これは 亡者だ。陽禅よ。別に悪さをするものではない。気にするな。」 と言われた 陽禅 納得したのか「わかった じゃあ 見ないね」と 言うと 不思議なことに 雷禅 美鈴御前 共に 今まで眼前に見えていた 亡者は消えてしまいました。 雷禅「これは 不可思議なことじゃ このように都の大路に亡者が溢れているとは」 「これだけ溢れていれば 陰陽師やら術者たちに見えぬはずはないのに」 「どうも なにかが 都の空気を変貌させているのか?三位殿に訊ねてみるか」 と 歩いているうちに  都の北西 願の森へ到着しました。 美鈴御前 懐より 名笛 白雲を取りだし 名曲 浮き世を奏で始めました。 ぴーひょろろ~ ぴーひょろろ~ と陽気な音曲が流れ   雷禅 陽禅 従者共に 聞き入っています。 笛の名人であった 父 瑞江三位からの直伝 彼女も 宮中にて名人と うたわれているだけに 心に響きます。 ぴーひょろろ~♪ 次の名曲 碧雲の清々しい 音曲が 森に響き渡り すると  森の中心部から  蒼白い光の柱が天に向けて伸びていき。 その柱より 光の球が こちらへ すーーーーーーっと やって来ました。 美鈴御前の頭上まできたその光の球が 実体を 持ちはじめて ああ 懐かしき 瑞江三位の姿に。。。 「これは 久しぶりじゃのお 美鈴に 婿殿。ほ。。。これは もしや 我が孫に なるのかの。。陽禅じゃったかの」 と 雷禅よりも若々しい姿の瑞江三位 初めて会う孫に笑顔を。。。
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