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ガラガラ! ミケは勢いよく病室の扉を開けた。 「おじいさん!」 扉の前で叫んだところまではよかったのだが一歩踏み出すことが出来なかった。 おじいさんは僕の顔を目を丸くして見ていた。 よかった、無事だったんだ。 しかしなんて話しかければいいんだろう。 僕がミケだなんて信じてもらえないだろうし、ましてやいきなりつばさくんが犯人だったなんて言ったら怒られる気もする。 暫くおじいさんと見つめあっていた。 するとおじいさんは微笑んだ。 「おぉ、長く生きていると不思議な事が起こるもんじゃな。君はミケだろう?」 「な、なんで・・・?」 どう見ても人間になった僕をおじいさんは一目で僕だと見抜いた。 「なんでってそりゃあ、何年一緒に居たと思ってるんじゃ。」 僕は自然と涙を流した。 嬉しかった。 ようやくおじいさんと会話を交わす事が出来るんだから。 でも一刻も早く事実をおじいさんに伝えなきゃ。 「おじいさん、聞いて。僕が人間になって会いに来たのはね、おじいさんを殺そうとした犯人がわかったからなんだ。」 それから僕が見たものを全てそのままおじいさんに伝えた。
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