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僕の仕事は客引き。 歩いてる人に近づいて足に顔をスリスリする。 人間だったらただの変な人。 でも僕だったらみんな可愛いって言って付いてきてくれるんだ。 だって僕は、猫だから。 日課の朝の散歩を終えると真っ直ぐに古書店へと向かう。 おじいさんは僕より早起きで既に古書店は開いている。 開店作業を終えてレジでコーヒー飲みながら一息ついているおじいさんの膝に僕は座り込む。 ここは昔から僕の特等席なんだ。 「おぉ、ミケや。戻ったんだね。朝ごはんだよ。お食べ。」 おじいさんは床に猫まんまの入った銀のさらを置いた。 これが僕のお給料なんだ。 今日は鮭のほぐし身が入ってる! たまにしか入っていないからとっても嬉しいんだ。 僕は夢中で猫まんまにがっつく。 「急いで食べんでもご飯は逃げやしないよ。」 おじいさんは優しく微笑みながら僕に言った。 おじいさんのこの顔が僕は大好きだ。 僕を拾ってくれたときも同じような顔をしていた。 僕とおじいさんの出会いは、近所の路地裏。 3年前僕は雨の日、ダンボールの中で震えていた。 実はそこに至るまでの経緯は覚えていない。
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