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色んな世界を見ることができる。
幸せなこの日々が、永遠に続くような気がした。
時刻は正午を回った。
ドアに付いている鐘が1人の来店を告げた。
「いらっしゃい。おぉ、つばさくんじゃないか。」
「こんにちは。」
この爽やかで誰もが好感を持ってしまう彼はこの古書店の常連の大学生、つばさくんだ。
「ミケも、こんにちは。」
つばさくんは屈んで頭を撫でてくれた。
一鳴きして返事を返す。
彼は少し長い髪を掻き分け店内を歩く。
彼は小説家を目指しているらしい。
本を買ったと思ったらすぐにまた買いに来る。
本当に読んでるのかなって思うくらい早い。
10分ほど選別していた彼は一冊の本をレジへ持って来た。
「これ下さい。」
彼が手にしていたのは有名推理小説家の代表作だった。
「珍しいね、つばさくんが推理モノなんて。」
「えぇ。小説家になるには色んなジャンルの小説を読んでおかないと、と思いまして。」
2人はゆったりと会話を交わしながら金銭のやり取りをする。
「どうだい、珈琲でも一杯。」
するとつばさくんは眉をハの字にして断った。
「すみません、この後予定あるので。また今度ゆっくり頂きます。」
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