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最後まで爽やかという言葉を擬人化したような彼は好感を振り撒いて店を後にした。
「はぁ...。彼のような子がこの店を継いでくれたらなぁ。」
実の息子さんには全くその意思はなく、おじいさんは心から跡取りを望んでいる。
勿論この古書店を残したいからでもあるが、一刻も早く跡取りを見つけたいという理由が他にもある。
それは毎日のように夕方に訪れる彼等のせいなのだ。
閉店の数十分前、ドアの鐘を荒々しく鳴らし彼等は来た。
「どーもこんばんわ!おじーいさん!」
スーツ姿のガラの悪い男2人が大声を出して店に足を踏み入れた。
穏やかな雰囲気だった店内が一気に曇る。
先に居た親子は身を潜ませそそくさと店を後にした。
「また来たのか。何度来ても返事は変わらんぞ。」
「そんなこと言わないで下さいよぉー!考えてみて下さい。貴方が居なくなった後のこの土地、ほったらかすには勿体無いでしょう?」
「・・・店は継がせる。そしてわしが死んでもこの古書店は死なん!」
2人のうち体格の良い男がおじいさんに近寄る。
「で、その跡取りはどちらに?」
おじいさんは言い返せない。
僕は男達を追い払おうと毛を逆立て威嚇する。
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