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「なんだこの汚い猫は。まさかこの猫が跡取りだとでも?」 2人は嫌みたらしく笑い声をあげる。 おじいさんはその言葉に耳も貸さずに急に目付きを変えた。 その老体からは想像出来ないような、鋭い眼差しを2人に向ける。 「確かに、このままわしに寿命が来ればこの古書店は潰れてしまう。だが、どうしても、この古書店だけは残したいんだ!わしの我儘に付き合わせて悪い。だから約束しよう。このまま跡取りが見つからずにわしが死ねば!お主らにこの土地を渡す。だがその前に跡取りが見つかれば!潔く手を引いてもらおう。」 少しの沈黙の後、男達は声を出した。 「・・・ふん、いいだろう。あんたの寿命がどれくらいなもんか知りませんがね。行くぞ。」 2人の男達はこの場をあっさりと引き上げた。 それにしてもこんなに怖いおじいさんの顔は初めて見た。 店から誰も居なくなった途端おじいさんの表情は緩み、ふうっという息と共に椅子に腰をかけた。 張り詰めた緊張の糸が切れたようだ。 「威勢を切ったのは良いのじゃが、どうしたもんかの。」 僕は一鳴きした。 「ミケや、励ましてくれているのかい?ありがとう。明日の朝は一緒に散歩でもしようかね。」
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