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「梶岡君」
クールダウンを終えた海斗を、純が呼び止める。海斗は振り返り、キラキラ光る髪をなびかせた純と、見つめ合う。純の口元が緩、み八重歯がこぼれる。
「日曜の練習試合は、野球と、どっち出るの?」
「ああ……。時間ズレてるから両方出れるよ」
「え?それ大変じゃない?凄くきついでしょ」
「ああ。まだ知らないか。俺、スタミナも化け物なんだ」
一瞬、間を置いて、海斗が自らの気取った言い回しに顔を赤らめる。こんな言い方をするつもりではなかったと、薄い汗をかく。純はその様子に気付かず
「凄いけど、それでも疲労がたまるでしょ。私、マッサージするよ」
「え、マジで?あ、いや……。俺だけ特別扱いしたら角が立つからだめだよ」
「そっか、そうだよね」
シュンとなってうつむく純に、海斗はすかさずフォローを入れる。
「いや。気持ちは嬉しいよ。ありがとう」
純はうつむいたまま視線のみを上げて、海斗と見つめ合う。
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