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(・・・・・・ああ・・・・・・悲しい)
一昨日、おまえの目の前で王女は攫われた。
守るべき王女を、巨竜から守れなかった。
そして昨日、城を追われた。
騎士の任をとかれ、城を追われた。
竜に焼かれた四肢、擦り切れた上衣。
唯一の力を奪われた。
ただ一つ培ってきた力を。
それしか持たぬのに。
戻ることはできない。
何故、何故竜の元へと向かう。
その体では辿りつくことなどできまい。
彼女を救うことなどできまい。
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