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(……救いに行く)
王女にはその価値はない。
おまえを放り出した国、その王女には。
良い噂など無かった。
邪悪の王女だった。
名を呼ぶことすら疎まれる。
どこに守る必要があるのか。
功績も力量も認められなかった。
働けども働けども。
それだけならまだ、まだ良かっただろうに。
しかし彼女は、彼女はおまえの妻を殺したではないか。
彼女は、己の王への無礼をおまえの不手際とし、おまえに罪をなすりつけ見せしめとして妻を殺したではないか。
なぜそれでも守り続けたのか。
守る価値があっただろうか。
守る必要があっただろうか。
仕事だから守ったのか。
それともそれしかできぬからか。
その価値は無かったろうに。
きっと、いや、間違いなく。
おまえが守らなくとも、誰もおまえを責めはしなかったろうに。
裏切られ、妻を殺され、それでも守る価値があっただろうか。
(……違う)
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