自殺ブックメーカー

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 黙ってうな垂れている私に、愉悦に浸る大天使が囁く。 「もうすぐ自殺予告の時間だ。だが心細くはないぞ。すぐに教え子やアンダードッグの魂に会えるからな。 あと3分もすれば、終点の中学校が見えるだろう」  ところが、道の先には違う物があった。  オスプレイ2機で空中輸送される1台の戦車だ。 「まだゲームは終わってないぜ!」  凱が上部のハッチから叫んだ。 「生きていたのね」 「響子ちゃん、ちょっと待ってな!」  手を振って応えるが、バラキエルが憤怒の表情になる。 「身のほどを知れッ!」  またも雷撃を喰らわすが、凱が乗った戦車はスラローム走行しながら避けた。 「日本の技術力を舐めるな。10式戦車の十八番、スラローム射撃を見せるぜッ。撃ぇぇぇ──!!」 (えっ、ちょっと、まさか…)  戦車の砲身が巨大な火球を噴いた。  バッズゥーン──!!  砲弾がタンクローリーの後部で爆発する。たちまち横転した。 (もうムチャクチャよ!)叫びたいが舌を噛みそうだ。 「おのれ……人間風情がッ」  横倒しになった運転席から抜けでて、バラキエルが悔しそうに呻く。 「人に仇なす天使よ。この祓天師(ふつてんし)が相手するぜ」  凱が懐から銃を抜いて、空手のような構えを取った。 「その構えは……?」 「空手に銃を応用した武術『銃武(がんぶ)』」
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