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「人間が何ほどのことかッ!」
驕り高ぶったバラキエルが大きく振りかぶって殴る。
凱が引き手で受け、銃を握った手で逆突きを繰りだし撃つ。
バラキエルが避けるが、回転が止まらずに肘打ち。
そこから後ろ回し蹴り。また腕を旋回させて銃を撃った。
至近距離で銃を撃つ、人外が織りなす目まぐるしい攻防。
凱の動きは剛法だが、淀みなく流れる柔法でもあった。
さすがの大天使もそれに押され、ジリジリと後退していく。
「くっ…ッ」
接近戦では分が悪いと悟ったのか大きく飛び退いた。
「やるな祓天師。だがそれ以上動くな。女が雷撃を受けることになるぞ!」
バラキエルが叫ぶと、頭上の雷雲に幾条も稲妻が駆け巡る。
「祓天師よ、銃を捨てろ!」
「……分かったから、女に雷撃を落とすな」
銃に装填されていた弾丸を落とした。
「弱い者を盾にせず、どうせならこの俺に落とせよ」
銃を私の足元に滑らせると、挑発するように傲慢な声で告げる。
だが凱の眼は私に向けられていた。その眼が何かを訴えている。
「では注文通りにしようか」
大天使が愉悦を抑えられないように宣言する。天に指をかざすと、その頭上に稲妻が集中しだした。
「地獄に堕ちろ!」
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