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バラキエルが叫ぶ直前、私は膝をついてしゃがんだ。
地面の銃を拾うと、凱が弾丸を装填したスピードローダーを取りだす。
私が銃を宙に放ると、轟音と共に稲妻が落ちた。
「なに…ッ!?」
稲妻は凱ではなく、宙にある銃に落雷したのだ。
そのまま投擲された銃を受け止め、凱が素早く弾丸を装填する。
「そこは俺の射程だぜ!」
鋼の如き声で宣告すると、レイジングブルが火を噴いた。
「怨めしや人間……ッ」
眉間に銃弾を受けたバラキエルが、いまわの際でつぶやいた。
「メメント・モリ──ラテン語の警句だ。そんなに急がなくても、必ず死ぬから焦るなよ」
「人間ごときに…なぜ余が負けた……?」
「俺はアンダードッグ。いつも勝ち目のない戦いを挑むから、そう呼ばれているのさ」
業火に灼かれる大天使に向かって告げた。
『自殺ブックメーカー、ゲーム終了の時間です。勝者は、如月凱と音羽響子のチーム!』
中学校のスピーカーが終わりを告げた。
「危うく死ぬところだったわ」
「自殺者を強制執行で助けるのが、俺の流儀なんでね。作戦通りに勝利したろ」
凱が銃をしまいながら笑う。
「嘘おっしゃい。私の機転がなかったら、あなた黒焦げじゃない」
「感謝してます響子ちゃん」
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