第1章

2/8
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
わたしは猫が嫌いだ。 毛むくじゃらの体に、大きな目。 何故人は、あんな獣を可愛がるのだろう? わたしには理解できない。 そんなわたしの親は、ペットショップを経営している。 あり得ない。 わたしが猫が嫌いな事を知っているのに、店では猫を売っている。 だからわたしは両親の事も嫌いだ。 わたしは今年、高校を卒業する。 わたしは進学などせずに、就職するつもりだ。 早く自立して、あんな両親の元を飛び出したい。 「あずさ、ご飯だよ」 山村あずさがパソコンに向かい文字を打ち込んでいると、母親である美咲の声が聞こえてきた。 あずさは返事をする事なく立ち上がると、二階にある自室を出て、リビングのある一階へと降りて行く。 そして顔をしかめたまま、リビングのドアを開けると、テーブルに座る父親の直樹を視界に捉えた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!