序章

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苦しい…。 胸が苦しい。 頬を流れる水の冷たさに意識が戻ってくる、 呼吸をすることを思い出したかのように 慌てて息を吸い込む。 「…っ、ハァ…ハァ…。」 「大丈夫?悪い夢でも見た?」 心配そうに、でも悪戯な顔でミサトが覗きこむ。 「なんか隣でハァハァ聞こえるからさ、ユウリが また興奮してるのかと思って目が覚めちゃったよー。」 ふざけて言っているけど本当に心配して くれたのだろう。そんな瞳をしている。 ミサトはそういう娘だ。 「ごめんね、大丈夫。ちょっと嫌な夢見たみたい。」 「なーんだ、違うのかぁ。」 あからさまに安心した顔でミサトが言う。 「添い寝してあげようか?ユウリちゃん。」 「バカ…。」 「ふふ、おやすみ。」 ふざけて笑ってミサトは私にキスをする。 私達は間違っているのだろうか? 互いに惹かれ合い、互いに求め合い、 表向きは友人として同居し 毎晩のように愛し合う。 こんな生活がいつまで続くのか、 続けられるのか。 幸せを感じれば感じるほど それと同等の不安がのし掛かる。 そんな不安が私を蝕んでいく。
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