1.大家ヘイハチ

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 僕はその日仕事帰りに質屋により、信楽焼を僕の家に運んだ。  ヘイハチの家より僕の家のほうがまだ質屋から近かったし、何より僕の家は猫の家でもあるのだ。  ヘイハチには「仕事で遅くなったし、何より重くて家に運びこむのが真夜中になりそうだったから、とりあえず僕の家に置いておく」と言っておいた。  そして、信楽焼は今でもうちにある。猫はそれを心配してときどき僕の家に遊びに来る。 「いつそれをこっちに運んでくれるのですか?」 「さあ、今は忙しいから。気が向いたらな」  僕は子猫がこれをもう怖がらなくなったら運んであげるつもりである。  しかし、これ以上長く玄関に置いておくと、愛着がわいてしまい手放したくなくなりそうなので、近いうちに目につかないところに置こうと思う。
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