2.隣町のエニ

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「ところで、あのタヌキは?」  大槻は少しだけ開いたふすまを指差して聞いた。奥の間に置いてある信楽を言っているのである。  信楽は玄関から、めったに使わない奥の間に移してあった。 「あれは猫の物だ。貴重なものらしい」 「ふむ、普通の信楽に見えるがな」  と大槻は言った。僕は肩をすくめ 「さあ、わからん。ただ、なかなか愛嬌のあるやつだ」  そこで、玄関のチャイムが鳴った。出てみると、見知らぬ猫である。
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