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僕はどうなるのかと手に汗を握ったが、チャトラは飛び上がり、見事にサバトラの攻撃をかわした。
その瞬間からほかの猫たちもそれぞれに対戦相手を見つけ、戦闘に入っていた。
にゃあにゃあとこちらの岸にも喧騒が聞こえてくる。
「がんばれチャトラ!」
と大槻が歓声を飛ばした。
チャトラ猫はおそいくる三段警棒をハイヒールで防ぎ、踊るように攻撃を仕掛けている。
ヒールの部分を手に持ち靴の表で防御、攻撃相こなす。チャトラはトンファーの達人と見受けられた。
片手武器の警棒に対してトラ猫のトンファーは攻勢のように見えた。
猫らしいしなやかな戦いぶりは見ていてほれぼれするものがあるが、やはり持っているのがハイヒールなのでどれだけ打撃が入っても効果はいま一つのようである。
しばらくするうちにサバトラの三段警棒がチャトラに当たるようになってきた。
日が沈み、あたりが暗くなり始めていた。ほかの三組の対戦も大方終わりに近づいてきている。
ちょうどチャトラ方の二匹がのされ、今戦っているのはリーダー格のチャトラ猫とサバトラ猫。
それから相手方の黒猫、チャトラ側の小さな白猫だけである。
そして小さな白猫(彼は武器に竹刀を使っていた)が苦戦しながらも涼しい顔で黒猫をのした時、二匹のトラ猫の戦いも決定的な場面を迎えていた。
チャトラ猫の手からハイヒールが吹き飛んだのである。
「あ、私のハイヒール」
と大槻が言った。
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