3人が本棚に入れています
本棚に追加
誤字が多いが、どうやら誘拐犯からの手紙である。
カレンダーを見ると今日は七月の三十日であった。
「息子ってのはどの?」
「三番目の息子、カイです。気づいたらいませんでした」
「この、南山連合ってのは?」
猫は首を振った。
「わかりません」
「心当たりはないのか?」
ヘイハチはしばらく考えていたが、ついに首を振り
「ありません」
と言った。
「では息子がいつさらわれたのかもわからないな」
猫はうなずく。
僕は困り果ててしまった。
あいにく、今手元には金がない。ここの家賃が月一万五千円で、これを六カ月滞納しているわけだから合計九万。
あいにくそんな金はない。
僕がその旨を伝えると、猫は泣き出した。
「どうしてくれるんですか。私の息子の命がかかってるんですよ」
「まあ、そう言われても。しかし、これぐらいの額なら猫、自分で払えるんじゃないか?」
「それが、最近大きな買い物をしまして、今すっからかんなのです」
「何を買ったんだ?」
僕が聞くと猫は恥ずかしそうに
「信楽焼です」
と答えた。
最初のコメントを投稿しよう!