「早くあなたの口から好きだと言わせたい」

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「ずいぶん早起きですね」 突如聞こえてきた声に、ビクッとしながら顔を上げた。そこには髪をかきあげながら欠伸をする樋山くんが立っていた。 「あ……おはよ」 慌ててそう返し、スマホをこっそり元に戻す。すると樋山くんがまだ目が覚めきれない体でゆっくりと近づいてきた。 「何してたんですか?もしかして朝飯?」 「う、うん……作ろうかなって思ったんだけど」 「うわ、マジっすか!嬉しいです!佐和さんの手料理たべたい!」 一気に目が覚めたように声のテンションがあがる樋山くん。思った通りの反応。自然と口元が緩んでしまう。 「手料理ってほどじゃないと思うけど。有り合わせでいい?」 そう言って再び冷蔵庫を覗いた。 「お願いします!」 その後方で樋山くんはどこぞの運動部のような威勢のいい返事をして、じゃ俺顔洗ってきます、と言い洗面所へと急ぎ足で入って行った。
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