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「焦げたら樋山くんが責任持って食べてよね」
「焦げてなくても全部俺が食べます」
クスクスとあの声で耳元で笑う。
朝っぱらからぞくぞくと泡だつようなことはやめて欲しい。変な気分になる。
「佐和さん」
「ん?」
「好きです」
「……」
「俺、今すげー幸せ」
そう言って回された手に力がこもり、ぎゅうっと抱きしめられた。
こんなの、情事のあった翌朝によくあるワンシーンにしかすぎない。それなのに、慣れているはずなのに胸が勝手に早鐘を打ってしまう。
極上の男はいくら鉄壁を張っても、それを剥がす術を兼ね備えているんだ。油断すると持っていかれそう。
「もう一回」
「ダメに決まってるでしょ……っ、んっ、」
「出勤時間までまだあります」
……もう、この男は。
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