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後ろのソファ席では親子連れや、主婦たちがおしゃべりでもしながらケーキなんて食べている。
平日の昼間ってこんな空間なんだ。
私がいつも駆けずり回って数字とにらめっこして、頭下げまくっているその時間に、彼女たちはこんな時間を過ごしているんだと思うと、不思議な気持ちになった。
でも幸せそうで、羨ましい。子供の口についたクリームを笑いながら拭ったり、走り回る子供を必死に追いかけたり。なんだか彼女たちと私、同じ女とは思えないな。
そんな光景を見ながらコーヒーに口をつけた直後、私と椅子の間を人が割って入ってきた。そしてそれに続くように本とグラスがカウンターテーブルに置かれた。
徐ろに顔を上げてみると、そこにはどこか見覚えのある顔があった。
「ここ、空いてます?」
その視線に気がついたのか、青年がそう聞いてきた。私は慌ててはいと頷くと青年は失礼しますと言って椅子に腰掛けた。
……あれ、誰だっけ。
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