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お客さん?どこかのメーカーさんだったか。いや、違う。
もしかして、
「……マスター?」
そう声をかけると青年は本をめくる手を止め、驚いたようにこちらを向いた。
あまりに雰囲気が違うからすぐにわからなかったが、向けられたのは特徴のあるあの猫っぽい瞳。
やっぱり、マスターだ。
「佐和さん?えっ、どうしてここに?」
「ここ、地元なの。今休暇中で帰ってきてて」
「そうだったんですね。ビックリしました。なんかいつもと雰囲気違うから」
「マスターこそ。ラフな格好だし、学生かと思っちゃった。一人?」
「いえ、僕は待ち合わせで。少し早めに着いたので時間潰しに寄ったんです」
「あ、もしかして彼女?」
そう間髪を入れずに言うとマスターは少し気恥ずかしそうに頷いた。
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