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寡黙でミステリアスなマスターに彼女がいたとは意外。
まぁこれだけルックスがよければいないわけないか。職業も職業だし。
そういえばマスターと会うのもあの日以来だ。あの時恐らく全部聞かれていたであろうからなんとなくバツが悪い。
それに謝らないといけないことがあったんだ。
「マスター。この前はごめんなさい」
「……ん?」
「せっかく腕をふるってもらったのに……」
美味しそうな匂いがたちこめていた。だけどそれが出てくる前に私は出て行ってしまった。
「あぁ、あれ。いえ、お気になさらず。樋山さんが全部食べていかれましたから」
「樋山くんが?」
名前を聞いただけで一瞬のうちに胸がざわついて、目頭が熱くなった。
いくら忘れようと思ってもすぐにあの顔が浮かんでしまう。
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