「プライドの意味、はき違えないでください」

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大通りに出るとタイミングよく通りかかったタクシーを止めた。 そして乗り込むやいなや、空港までと運転手さんに告げスマホを取り出した。 「もしもし私、今いい?」 「どうしたの。あんた今休暇中でしょ?」 そう驚いたような声ででたのは透子。仕事中だろうがいつものごとくワンコールで出てくれた。 「そうなんだけど、ちょっと教えて欲しいことがあって」 「今度はなに?」 「ロンドン支社の場所教えて」 「はぁ?なによ、急に」 「いいから。今からちょっと行きたいの」 「ちょっとって、あんたそんな簡単にいう距離じゃないでしょ。だいたいあんたいつも私の事いいように使うわよね」 電話口から透子の呆れたようなため息が聞こえる。 だけど透子の言う通り。私はいつもよく説明もしないで都合のいい時だけこんな風に頼っている。つくづく私って自分本位の人間だ。
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