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「佐和、まさか樋山さんのところに行くの?なんだか珍しいわね、あんたがそんなに熱くなるなんて。あ、あったあった、ロンドン支社の住所。読み上げるわよ、いい?」
でも透子はそんな私でもこうやってなんだかんだいつも味方でいてくれる。
私なんてお礼どころか、透子のために何かしてあげたことなんて一度もないのに。
「透子、」
「何?メモするものがないとか言わないでよ、」
「いつもありがと、感謝してる」
「はぁ?なに、急に。気持ち悪いわね。やっぱらしくないわ」
「だって本当だもん」
昔から私は誰に対しても距離を置いて接していた。
本音を語ったり、弱音を吐いたり、そんな恥ずかしい真似他人にはできないと思っていた。でもそんなの、心を開いてくれている相手対して失礼だ。
ごめん、透子。あなたのこと信頼しているのに。
「透子、ロンドンから帰ったら聞いてほしいことがあるの」
きっとどん底に落ち込んでいると思う。みっともないくらいボロボロかもしれない。
でも、透子に聞いてほいし。そんな私も知ってほしい。
「なによ改まっちゃって。もちろん聞くわよ。だって友達でしょ?私達」
透子はそう行って電話口で小さくふふっと笑うと、支店の住所を読み上げてくれた。
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