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自ら遠く離れた大学に行っていた時も、陸が突如姿を消した時も、いつだってこいつは陸を思っていた。見ているこっちが辛くなるくらい。
そこまでして陸がよかった理由は俺にはわからないが、恋愛は人をそこまでのめり込ませてしまう。本来の自分を見失い、周りが見えなくなってしまう。そのことを俺も最近になって知った。
要は俺は彼女をそこまでさせられなかった。ただそれだけだ。
「兄貴のこと、結局最後はどうやって落としたの」
「え、それ聞いちゃう?」
「よくよく考えたらいつの間にかそう言う関係になってて、どうやってそうなったのか知らないかも」
「んー、あれは確か陸にお見合いするかもって聞かされた日だったかな。いつも近くにいて、こんなにも好き好き言っているのに、どうして私じゃダメなんだって裸で迫ったの。で、無理やり既成事実を作ったってわけ。今考えるとあれはもはやレイプよね」
うんうん、と恥ずかしげもなく赤裸々に話す美月。すごいやつだ。色んな意味で。
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