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この大学病院を受け持つことになったのは先月。
担当していた子が突然辞めたいと言いだし、急遽受け持つことになった。
正直断りたかったがそういうことなら俺を担当に、と指名を受けてしまった為、仕方なく引き継いだ。
そして一番恐れていたことが起こった。彼女の元婚約者、小田桐直人に関わる羽目になったのだ。
「君のオススメはどれ?」
そんな彼は今、最新のオペ機器を欲しがっている。
「私としてはこちらの可動式のものがいいかと。海外ではこういった形が主流です」
「なるほど。そういえば君、最近までロンドンにいたとか?」
「はい。一年ほど」
「どうりで。貫禄がついたと思った」
「ありがとうございます」
「でも佐和が寂しがったんじゃないの?」
カタログから一瞬こちらに目線を寄こしそう言った小田桐先生。やっぱり、知っていたか。
もしかして、それを探りたくて俺を担当にしたのか?今更なんだ。まさか未練でもあるというのか。
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