12705人が本棚に入れています
本棚に追加
「残念ですね、ご存知ないなんて」
「だから、どこがと聞いているんだ」
「さぁ、教えませんよ」
そう茶化すように言う俺を、小田桐は面白くなさそうに睨んでいた。
手放したのはあんただろ。彼女を傷つけて名誉を選んだのも。
それには今は寧ろ感謝しているが、そんなお前に彼女の良さを教えてたまるか。
小田桐は途端に無口になり、悔しそうだった。
だが俺はそんな小田桐に、続けましょうか、と再び仕事用の笑みを作り向けると、商品の説明に戻った。
存分に悔しがればいい。彼女を無下にした罰だ。
最初のコメントを投稿しよう!