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俺は未だ熱心に練習する彼女に背を向けると、再び玄関へ戻った。そして彼女に聞こえるくらい大きな声でただいまと叫んだ。
彼女のことだ。今頃俺の声にハッとして慌ててクールな顔を作っているのだろう。
何事もなかったように、おかえり樋山くんと言って出てくるのだろう。
でもそれでいい。
意地っ張りで勝気で、プライドの高いそんな君が俺の最愛の人。
その内に秘められた可愛さは、俺しか知らなくていい。
だから今日も明日も明後日も。
俺にしか見せない顔を見せて。
これからもずっと、君の本音を探らせて。
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