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元気は、二人のラリーを熱心に見てしまう。スマッシュが 外れたところで、隣のビリヤードに視線を変える。 四つ玉とスリークッションの台があり、中年の男女がプレイ している。 うまい。常連客なんだろう。玉は小気味よい音をたてて ポケットへ落ちていく。玉が緑色のラシャの上を滑って 行く。 元気は友達とビリヤードをやったことを思い出した。 あの頃もお金が無くて、パチンコはできなかった。 パチンコをやるとすぐ玉が無くなって、ゲームを続け られなくなる。 それで安いビリヤードで時間を潰していた。しかし、 腕前はあがらず、負けてばかりで、いつしかビリヤード は止めてしまう。 それでもうまくなろうとして、本を買って読んだりした。 元気は腕時計を見た。午前9時55分。あと5分で衣料品店 が開店する。買物とビリヤードとどっちをやろうか迷う。 嬉しい迷い。 結局、元気は一時間だけビリヤードをやることに決め、 カウンターに向かって歩き出した。 午後1時30分頃、元気は部屋に戻って来た。 あれから、スリークッションを一人で1時間やり、 衣料品店で、気に入ったズボンやシャツ、セーター などを買った。
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