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、 誰だったろうと記憶をたどった。しかし、………。 こんなおばあちゃんは、知らない。記憶にない老婦人だった。 「 こんばんわ、………ちょっとお紅茶でもご馳走してくださいな 」 と、おばあちゃんは、ややハスキーな声で笑いながら言うと、返事を聞くこと もなく、テーブルの向かいの椅子に腰かけてしまった。 元気は、目の前にいるおばあちゃんを、じっと見つめた。 丸顔で頭髪は白かった。ピンク色のフレームの眼鏡をかけており、レンズの奥 の瞳は明るかった。瑠璃色のワンピースが、よく似合っていた。 「 そんなに見つめないで、ください 」 ちょっと責めるような言い方だった。  、
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