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「疲れた・・・もうイヤだ・・・。」
恵美子は、警察から連絡を受け、放浪していた義母を自分の車で連れ帰り、自宅で落ち着くと溜息をついた。もうこれで何度目だろう。まだ下の方は失敗は無いが、食事をしたことを忘れて食べたがったり、人の名前は忘れるし、この前も、あなたは誰、などと問われたのだ。人を泥棒扱いしたり、恵美子が近所に悪口を触れて回っているなどの妄想もあり、恵美子はほとほと疲れてしまった。
「私は、こんな人生を送るために再婚したわけじゃないのに。」
恵美子はバツイチで、子持ちだった。一人娘を抱え、生活するのは苦しく、恵美子は昼はスーパーのレジ、夜は水商売で生計を立てていた。そんな恵美子には、高校時代からの親友がいた。
由香里は、高校を卒業し、看護士として働き、その後その病院の医師と結婚し、裕福で幸せな生活を送っていた。同窓会で再会した恵美子は正直、そんな由香里に嫉妬していた。由香里なんて、自分よりうんと容姿が劣るのに、何故そんな良い生活をしているのか。恵美子は、容姿端麗で高校時代は随分モテた。その結果、在学中にはすでに年上の恋人がおり、妊娠してしまい、やむなく退学せざるを得なくなってしまった。
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