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恵美子の最初の夫は、容姿は抜群に良かったが、女たらしでろくでなし。働かずに、恵美子はやむなくパートに出なければならず、夫はヒモの分際で、あろうことか恵美子が留守の間に自宅に女を引き込んでいたのだ。恵美子の堪忍袋の緒が切れ、とうとう幼い娘を連れ、離婚。それから女手一つで子供を育てるのは、並大抵の苦労ではなかった。
そんな恵美子にチャンスが巡ってきた。由香里の夫が、恵美子の働くキャバクラに客として訪れたのだ。由香里の夫が恵美子の渡した名刺のお返しに、自分の名刺を差し出してきて、その男が由香里の夫だと知った。恵美子は、男を誘惑した。容姿端麗な恵美子に言い寄られて、悪い気がしないわけがない。意図も簡単に恵美子は由香里の夫とあっという間に男女の関係となり、ついに恵美子は由香里から男を奪うことに成功したのだ。
義母は最初こそは、前の嫁に比べて器量は良いし、器用な恵美子を気に入って良くしてくれたけど、そこは他人、だんだんと自分の我が出てきて、いちいち人のやり方にケチをつけてくるようになった。だが、それ以上に、金銭的に何不自由なく暮せる生活は快適だった。家も広いし、今までのようにあくせく働かなくていいのだ。多少のことは我慢していた恵美子だった。だが、数ヶ月前くらいから、義母の様子がおかしくなった。物忘れが激しくなり、今まで以上に怒りっぽくなり、ついには徘徊がはじまるほどになった。病院の診断は認知症とのことだった。せっかく掴んだ幸せに影が差してきた。
そしてついに、恵美子にとって許せないことが起こる。家に帰ると、娘が泣いていた。どうしたのかと問えば、
「おばあちゃんに、あんたなんて水商売の母親の子供だから、誰が父親だかわからない。淫乱の血があんたにも流れてるって言われたの。」
と娘が訴えてきたのだ。
絶対に許せない。私は、ともかく、娘を傷つけることだけは許さない。ボケてるとは言え、言っていい事と悪いことがある。
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