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━━…………カラカラカラ
アリスの前から、車イスに乗ったエリカが現れる。
「……アリスさん、もうお休みですか?」
暗闇からやってくる様は、ちょっと怖い。
「ああ、風呂に続き、飯までありがとな。お礼何も出来ないけど。」
エリカは可愛らしい笑顔で答える。
「喜んで頂けて良かったです。………お礼、ですか?」
空気が張りつめはじめた。
「では、……………あなたのその素敵な足をくださいな。」
アリスの眠気が一気に覚める。おバカなアリスでもわかった。これは、マズイ!非常にマズイ状況だと。
「わ、悪い。それはちょっと……。」
後ずさる。
「……下さらないのなら、奪うまでです。」
車イスを掴む手に力を込めるのが見えた。
「嘘だろ?!」
くるりと方向転換。一気に猛ダッシュ!
「お逃げにならないで?アリスさん、待ってくださいな。」
━━ガラガラガラガラガラ!!!!
か弱いそうな女の子のそれではない。忘れてはならない。彼女は、ゴーストだ。人間の常識を当てはめてはいけない。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!来るなぁぁぁぁぁぁ!!!!」
全力全開、全力疾走!しかし、距離が開くことはない。ピッタリとついてくる。
「まぁ、ステキ!そんなに早く走れるだなんて。やっぱりほしいです。ください、その足を。」
━━ガラガラガラガラガラ!!!!
変わらない笑顔が、逆に恐怖を煽る。
「ざっけんなぁぁぁぁぁ!!!俺の取り柄取るんじゃねぇぇぇぇぇ!!!」
君の取り柄は、女の子より可愛いことじゃなかったのかと突っ込んでくれる人はいない。
「あらあら、女の子が俺だなんて。ダメですよ。」
━━ガラガラガラガラガラ!!!!
……今更だが、なりは完璧に女子だった。何も知らなければ、間違っていても仕方ない。
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