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第10話 招かれざる客、3月ウサギの男気
━━その頃3月ウサギはまだ、マリカの側にいた━━
「……静かになった。二人きりですね、マリカさん。」
正直、単に成人女性が彼女しかいないだけで、口説いてるんじゃないかと思ってしまう。
……忘れるな、相手は"ゴースト"だ。既に、過去に亡くなった人間なのだ。
「ええ、そうですね……。」
しかし、プライドを掛けた勝負。主旨は違えど、似た者同士。
3月ウサギはそれを理解した上で勝手に、勝手にでた。そして、気になるのは長女のこと。一回くらい聞かないと怪しまれる。
いや寧ろ長女の年齢を知りたい。セリカは7、8歳くらいで、エリカは年少組と然程変わらないだろう。考えろ、微妙なラインだ。成人しているかどうかの!子どもに興味はない。大人女子最低年齢さえ、クリアしていれば!
……信用度が低いのは、本音も全力なところに他ならない。
「……ねぇ、3月ウサギさん?私、もう待つことに疲れてしまったの。」
マリカが先に勝負に出る。そして、腕を首に回した瞬間だった。
━━ギィ…………………
玄関の開く音がする。一瞬、マリカの顔が怖くなった……。しかし、本当に一瞬で。
「まぁ、誰かしら。また、雨宿りの方かしら?今日は千客万来ですわね。」
笑顔で立ち上がる。
「……待っていらしてね?」
3月ウサギを残し、食堂を出ていった。
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