14人が本棚に入れています
本棚に追加
第11話 謎の美人、迷探偵リーゼロッテと帽子屋・ワトスン
━━三人がそんなことになっているとは知らないリーゼロッテと帽子屋は━━
それぞれの部屋に向かう。しかし、小一時間経っても戻らないローゼリア。心配になって、廊下に出た。真っ暗な廊下は、寒気がする。ロローゼリアが傍にいないだけでも、心細いと言うのに。
……無意識に、帽子屋のいる部屋をノックした。
ややあってから、扉が開く。
「……どうした?赤ずきん。」
俯いたまま、震えているリーゼロッテを不審に思った帽子屋は頭をくしゃりと撫でた。
「……ローゼが、まだ戻らないんです。あの、そちらは……。」
暫くして、帽子屋が口を開く。三人の中では口数が多い方ではないが、この状況では沈黙が怖い。
「……そう言えば、まだ帰ってきてないな。心配なんてしてなかったって言えば、嘘になるが。……いつも引っ付いてる白雪姫が戻らないのは、ちょっと穏やかじゃないな。」
不安を増長するつもりはないが、下手な嘘をつくよりはマシだ。
「ま、まさか……。」
はっとするリーゼロッテに、溜め息をつく。
「……恐らく、狙われていたのはあの三人だな。3月ウサギは自ら襲われに行ったようなもんだが。」
3月ウサギはわかってやっているので、置いておく。
「あ、私……ローゼになんてことを……。」
その場にへたりこむ。『行ってきなよ。』なんて言うんじゃなかったと後悔した。
「安心しろ。あの小娘は殺そうとしてもそう簡単にくたばるわけないだろ。アイツらだってそうだ。ただじゃ倒れない。」
凸凹パーティだが、それなりに実力はある。
「……信頼、してるんですね。」
しかし、その言葉は裏切られた。
「いや?あのたらしとバカなんざ、信頼なんかしてねぇよ。」
ポカンとする。
「……だが、アイツらは今まで、負けたことはない。今回は五人パーティだ。……わかるな?」
はっとするリーゼロッテ。そう、リーゼロッテもローゼリアと二人きりではない。それに
信頼と信用とでは、似て非なるもの。帽子屋は彼らを信用しているのだ。今回は二人と三人、合わせて五人のパーティ。囮班と行動班。分かれて当然。リーゼロッテも信用しなくてどうするというのだ。
「……ローゼを、いえ、アリスくんや3月ウサギさんだって殺させはしません。私たちが謎を解き、この屋敷を解放しましょう。」
また頭をくしゃりと撫でられた。
最初のコメントを投稿しよう!