14人が本棚に入れています
本棚に追加
第9話 囚われのローゼリア、アリス大疾走す
━━就寝まではまるで本当にお屋敷にいるようだった
食事も実に美味しかったのだ━━
「……あたし、真似だけしようとしていたのに、普通に食べられたわ。…………あの料理、本当は腐っていたのかしら。」
全くもって、失礼な娘である。
「え?お、美味しかったよ?」
聞こえたら不味いと慌てた。
「ソイツのそれ、今に始まったことじゃねぇし。」
満足げなアリスが、勇者な発言。次の瞬間、首筋に冷たいものを感じる。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!」
ローゼリアの伸びた爪が、アリスの喉付近に迫っていた。
「……あれの怖さは一番おまえがわかっているはずだ。学習しろ。」
青ざめながら、頻りに頷く。
「いやぁ、マリカさん!実に美味しかったです!最高でした!」
相変わらずなやつもいたが。
「ふふ、喜んで頂けてよかったわ。」
しかし、これも3月ウサギの機転だったりする。
いつ怪しまれるかわからない年少組。大人がフォローをする。3月ウサギがゴースト館の主人であると践んだ未亡人の気を引き、帽子屋が年少組を諫める。勝手をしているようで、実にスマートな奇人変人な大人だ。
「ねぇ、おねえちゃま?あそんで?」
セリカの声がして、服を引かれたのは……ローゼだった。
「は?なんであたしなの?優しいのはリーゼよ。」
怪訝な顔をして、セリカに向き直る。
「だって、おねえちゃまキレイなんだもん!」
「あら、そう。ありがとう。」
素っ気なく答えた。………ローゼリアは知らなかった。自分の判断が間違っていたことに。狙われていたのは、ローゼリア自身であることを……。
最初のコメントを投稿しよう!