第9話 囚われのローゼリア、アリス大疾走す

2/6
前へ
/75ページ
次へ
「行ってきたら?私は大丈夫だから。」 リーゼロッテはあとで、この言葉を後悔することになる……。 三人を盾にするようなことなど、リーゼリアには出来ない。何だかんだで二人は大人だし、ムカつくがアリスはリーゼロッテを気に入っている。いざというときは、大丈夫だろう。 「……仕方ないわね。何して遊ぶの?遊びなんて知らないわよ?」 だが、忘れてはいけない。セリカの持つ人形が、赤い涙を流していたことを。誰よりも警戒心旺盛なローゼ。それが間違ったことはない。しかし、今回の相手はゴースト。勝手が違う。それが仇となるなんて、ローゼリアは思いもしない。 断る方が、子ども相手には不利だ。ゴーストなら尚更、手に負えない。仕方なしに承諾する。 セリカが嬉しそうに、ローゼリアの手を引いて誘う。 「こっちだよ!おねえちゃま、キレイね、ホントにキレイ♪」 まるで呪文のよう。 「そんなこと、言われなくてもわかっているわよ。今更よ。」 セリカの言葉の意味を、ローゼリアはすぐに理解することになる。 「ここだよ♪はいって!」 誘われるままに、入室する。……入るなり、ローゼリアは渋い顔をした。 ━━部屋中、人形が並んでいる━━ ただの人形ならわからなかった。何かの思念を感じて、気持ち悪い。 「ね?お友達がいっぱいなの!」 この感じは、お友達なんて生易しいものじゃない。ついてくるんじゃなかったと思ってももう、遅かった。第六感まではあるとは思っていない。視覚以外の器官が総毛立つ感じ。……わかっていたはずだった。 ━━バタン!
/75ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加