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その日も、羽を持った兄妹は、繁華街のクリスマスツリーの上から、行き交う人を眺めていました。
「お兄ちゃん、あの男子、さっきから、こっちを見てるけど、私達の事、見えるのかな?」
「どうかな?でも、可哀そうだなぁ、あの子、苛められてるみたいだ。」
「それ、可哀そうだよ。助けてあげようよ。」と妹は言い、1人でその少年の方に飛んで行きました。
その瞬間、少年はビックリしたように、目と口を大きく開きました。
「君達は、天使なの?」
「君には、僕達が見えるのか?」と、ほぼ同時に聞きました。
3人は公園のベンチに座っています。
「ねぇ、何が起こってるかは、わかったけどさぁ、やっぱり、家に帰った方が良いと思うんだ。それで、お父さんとお母さんに、ちゃんと説明した方が良いよ。1人で帰るのが怖いならさぁ、僕達がいっ緒に行ってあげるからさぁ。」
「どうせ、、、話そうとしたって、今忙しいから後でって、聞いてくれないよ。」
「でも、話さないと、、、始まらないよ、心配するなよ。」
「でも、何を話していいか、わかんないよ。」
「さっきは、ちゃんと僕達に話せたじゃない。大丈夫、君の側には、僕達がいるからさ。」
すると、今まで黙っていた妹が、二ッコリと笑いながら、彼の手をとり、
「帰ろうよ。」と言うと、突然、2人の体が中に浮きました。
「夏ちゃん、危ないよ。下りてきなよ。」
「私、何もしてないもん。」と妹が言うと、2人はすごい速さで飛んで行ってしまうので、兄は急いで後を追いかけました。
やっとの思いで、2人に追いついた兄、そこは病室 の窓の外でした。
部屋のベッドには、頭に包帯を巻かれ、色んなコードや管が繋がれた、少年が寝ていました。彼の両親と思われる、大人の人もいます。
「何で、どうゆ事?」と言うなり、少年の身体は窓をすり抜け、寝ているもう1人の彼自身と1つになりました。兄妹も続いて、窓を通りぬけ病室にはいりました。
目を覚ました少年は、病室の天井に飛び回る、蛍の様な2つの光を見上げながら、
「やっぱり、君達は天使様なんだね。 」と言いますと、
「何時でも、あそこにいるから、辛い時には会いに来てね。」と言う妹の声が、少年の心に届きました。
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