デッドとFOFを繋ぐファンタジー。

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「・・・だけど。 あなたはいつも夕飯を作ってくれていた。 帰りの遅い私を気遣って家事をしてくれていた。 たまにしか作れない私の料理をいつもいつも褒めてくれていた・・・。」 ゆきえが遠くを見つめたまま、涙を流す。 「・・・ママ?大丈夫?」 もげおが不安そうに妻の肩を抱く。 その妻は、涙を流しながら笑う。 笑いながら歌い出したものは、愛の歌。 「私は今、南の一つ星を見上げて誓った。」 夫の胸に頭を預け、歌う。 「どんなときも。微笑みを絶やさずに歩いて行こうと。 貴方を思うと、ただせつなくて、涙を流しては。 星に願いを。月に祈りを捧げるためだけに生きてきたー。」 夫の胸に染み渡る涙の粒。 「だけど今は貴方への愛こそが私のプライド。 優しさとは許し合うことを知る最後の真実ー。 わがままさえ、愛しく思えたなら本当に幸せ。」 もげおがゆきえの頭をそっと撫でる。 目を逸らす子供達。 「あなたは私に自由と孤独を与えてくれた人。 夜がくるたびに無口になって。震える肩を抱きしめていたー。 だけど今は貴方への愛こそが私のプライド。 いつか私も空を飛べるはず。ずっと信じていた。 翼があれば飛んでいくのに。貴方の胸に今すぐにでも。 見上げて見て。南の一つ星を。素敵な空でしょう。 私は今。貴方への愛だけに笑って泣いてる・・・。」 どこにでもいる。ありきたりで当たり前の夫婦は。 当たり前に抱き合える喜びに涙を流す。 こうして夫と妻のラブストーリーは再開された。 死が二人を分かつまで。離れない離さないと誓い合う二人はまるで恋人のようであった・・・。 【そしてFOFへと続く。】
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