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「どうですか?ちゃと見えますか?」
そう言って、俺の顔を覗き込んだのは白衣を着たカエルだった。
「…え?えぇと」
「…見えずらかったり、痛みがある時は仰って下さいね」
そう言って、心配そうに此方を覗き込んでいるのは、ナース服を着た同じくカエルだ。
「や、…見えずらいとか、痛いとかじゃないけど、カエ…る?」
「…そうよ。貴方はカエル王国を救う大切なこの国の勇者。私とこの子達を守る為にも頑張らなければならない。だから、ちゃんと治ってくれないと困るのよ」
そう言った妻だと思っていた声の主も、その腕に抱かれた子達も…か、える。…え、そこはおたまじゃくしだろ?と思うが、何故だか子供までカエル。
「…ちょっと待て、頭を冷やしたい」
少し風に当たろう。
…ふらりふらりと窓際までくると、窓をあける。
しかし、窓から見えてきたのは禍々しい景色。
闇色に淀んだ空、深紫色の悪趣味な城。枯れ果てた植物は風にそよいでいる。
そして、俺は叫んだ。
「疲れた…もうイヤだ…」
end
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