ある日の放課後

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……は? 訳がわかんない。もう一人の私? 何故? 「理解ができないといった顔をしているな。無理もない。性別も違えば人格も違う。更には年齢も違うのだ。混乱するなということ自体無理な話だ」 「待った。年齢が違うってどういうこと?」 「そこから説明する必要があるのか……」 がっくりと肩を落としながら呟く怜。 「簡単に説明すると、魂にも年齢がある」 「魂にも年齢?」 「そうだ。魂の場合、年齢というより、少年期や成人期といった表現の方が適切かもしれないが、便宜上、年齢と呼んでいる」 「それじゃあ、何で私と貴方は年齢が違うの?」 「それは、君の魂が君の肉体年齢に合わせているためだな。君の魂が持っている本来の力を引き出すには、肉体が魂の年齢にまでならないといけない。私の年齢は、君の魂の本当の年齢であり、この姿は、君が男として生まれていた場合、なっていたであろう姿だ」 「だから、姿も年齢も性別も違ったんだ」 「そうだ。理解はできたか?」 「ん~……少し」 「……はぁ……。まあいい。これから、魂の融合を行う。これにより、君は力を得ることができる。私の影響を受けるかもしれないが、その時はその時か」 そう言って怜は私に近付き、私の額に自らの額を当てた。間近に迫る怜の端正な顔立ちにどぎまぎしていると、不意に気が遠くなる。意識が途切れる寸前、声が聞こえた気がした。 『―運命は残酷だが、抗い続けろ。君にはそれだけの力が宿っている―』 気が付くと、覚醒の泉の真ん中に立っていた。すごく頭がスッキリしている。色々と気になることはあるが、今は国王に報告するか。
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