ある日の放課後

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「レイ殿、覚醒の泉では何があったのかな?」 「覚醒の泉にて、力の覚醒を行っておりました」 「そうか。で、魔王は倒せそうか?」 「魔王に挑むのは時期尚早かと」 「むう……そうか。よし! レイ殿、確か、修行をしたいと言っておったな?」 「はい」 「私が直々に修行を見よう。というか、見る」 何を言っているのだ? この国王は。 「勇者の師匠に、私はなる!」 この人大丈夫か? 周りからも何か言ってくれないか? と思いながらチラリと周りを見回すも、皆、国王が私の修行を見ることに反対していなかった。本当に、この国は大丈夫なのか?つくづく心配になるぞ。そんな私の心配を余所に、国王はストレッチを始めた。え? 一体、何をする気? 「さあ、レイ殿。闘技場へ行こう!」 国王がそう言った直後、景色は変わり、楕円形の闘技場の真ん中に立っていた。あの国王、実はかなりの実力者だな。無詠唱の対象指定転移をするとは……。この国王ならば、良い師匠となるかもしれない。言動は自由奔放だが……。 「さて、早速だが、騎士団長とレイ殿で魔法無しの格闘戦をしてもらおう。では、いつでも初めて良いぞ」 国王はそう言って、今しがた来たばかりの騎士団長の肩をポンと叩くと、無詠唱の転移で観客席へと移動した。私と騎士団長以外の人間を連れて。 「よろしくお頼み申しますぞ、勇者殿」 「お手柔らかに願います、騎士団長殿」 私はそう言いながら、全身の力を抜き、団長の気配に集中する。団長は剣を抜いてはいるが、構えてはいない。この男、隙が無いな。一見、自然体は隙だらけに見える。しかし、達人クラスの自然体はむしろ逆だ。彼らに隙なんてものは無く、攻撃をすれば即座にいなされ、カウンターをくらう。私がそうだ。師範に「隙あり!」と飛び掛かったら、あっさりと受け流され、技を寸止めされた。正直、あれはかなり悔しかった。それから、私は気配を消しながら相手の隙を探り、確実に仕留めるように戦い方を変えた。
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