ある日の放課後

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彼の意図が読めず、困惑していると、騎士団長が解説してくれた。 「これは友好の握手なんです。流石です。勇者殿」 友好の握手か。なら、応じないわけにはいかないな。 「こちらこそ、ありがとうございます。フェイントに引っ掛かっていたら、こちらが負けていましたし、貴殿方騎士団から学ぶことはまだまだあります。どうか、この世界で生きるための戦い方を学ばせてください」 私は彼の握手に応じた後、頭を下げた。 「頭を上げてください!勇者殿!」 騎士団長が慌てた声で言うので取り敢えず、頭を上げた。 「勇者ともあろう御方が、頭を下げるなんて」 「団長殿、私は教えを請う者としての礼儀を弁えているつもりです。こちらでの礼儀がどのようなものかは存じませぬ故、どうか、こちらの礼儀作法もご教授賜りたいのですが」 「何と謙虚な姿勢……!? 我々も謙虚に、現状に満足せず、鍛練をしなければ。勇者殿、貴殿を我々騎士団の一員に迎え入れます。陛下、よろしいですか?」 「うむ。では早速、騎士叙任の儀を執り行おう。儀礼の剣をここへ」 「はっ」 騎士団長が、美しい装飾の施された鞘に納められた剣を王様に差し出した。私は誰に言われるでもなく、その場に跪いた。剣を受け取った王様は、剣を鞘から抜くと、騎士団長に鞘を預けた。
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