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ならば、たったひとりで侘しく公園のベンチでカップ酒を呷っているのがつらいのか、と言うとそれも少し違う。
ひとりは気楽で好きだ。特に鴨川のように少数派と言われるような人間は他人との距離を測るのが難しい。あれこれ気を使うよりもひとりの方がいいのだ。
友達がいない訳ではないし、会社の連中とも付き合い程度の浅い関係なら築くことが出来るから、そこそこ楽しくやっていると言ってもいい。
鴨川のため息の原因はたったひとつ、年下の上司である伏見佑(ふしみゆう)主任のことだ。3歳年下、入社は5年早い大先輩。しかも既に主任を経て、次は係長を囁かれる異例の出世株。この伏見主任がクセモノなのだ。
鴨川は年こそ上だが新人だ。しかもまだぺーぺーがつく。仕事にダメ出しが入るのは当然だと思う。しかし、そこまで言わなくてものひとことがある。
それはもうネチネチネチネチと、重箱の隅を楊枝でほじくるようについてくる。杓子で払えとは言わないが、せめてネチネチはどうにかならないかと思う。
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