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トッ…
「レイはセンス悪くないんだから、1人で練習してればイイのに。」
ブツブツと、アルは街並みの屋根を歩いていた、何故子供がそんな高い所は行けるのかと言えば…やはり魔法の恩恵なのだが。
「今日は【ロージ】も店番で遊べないしなぁ、何して遊ぼうか…」
友人の名を溢すが、遊べないと思い出して諦める。
「…うん、王宮でも見に行こっかな。」
屋根伝いに広がる景色、その先には大きな大きな宮殿が聳え立つ。
「そう言えば、あんまし見た事なかったなぁ、宮殿。」
王国・アルカディアの首都であり、王都。その中心部に聳え立つのは、豪華絢爛・煌びやかな黄金の王宮、アルカディオスがある。
「よっと…!」
ワァ、と思わず声を上げてしまう程に壮観。
「デッケーー!スッゲーー!」
何と表現力に乏しい感想か。
「あ。」
宮殿内部、中庭に立つ人物にまた声を上げた。
「とーちゃーーん!」
『アル!?』
キチンとした黒ベースの制服に身を包んだ成人男性が、ギョッと目を大きくしてこっちを見た。
…彼こそ少年アルヴィン・オーバードの実父、【アーゼンガム・オーバード】だ。
「なーにやったんだお前っ!ちゃんと母さんの手伝いしてんのか!?」
「ヒマだから抜け出してきた。」
ニシシ、と笑うアルは悪ガキそのものだった。
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