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バタンッ。
扉の閉まる音が、2人から兵士を遠ざけた。
「た、助かったぁ~!」
「ぁ、ありがとう。あなたは…」
そうレイが聞こうとして、思わず声が詰まった。
「おっ、王女様…!?」
「…………。」
純真無垢でこちらを見る彼女は、恐ろしい程に美しい。
色の入った髪を持つ人がこの国では多い中で、珍しい黒髪。民達の間で黒髪に染めるのが流行った時期があった程だ。
「あ、昼間の。」
「ん、俺?あぁ、そう言えば‘‘お前”父さんと一緒にいたっけか?」
「こらっ!王女様に向かって‘‘お前”なんて失礼でしょがっ!!」
「ほげっ!?」
パカーンと叩かれたアルはコメディチックに叫ぶ。
「フフフっ、楽しい人達。」
「「?」」
クスリと笑うその所作でさえ、上品だった。
「アリルア 、だっけか?何か美味しいもん出してよー、俺緊張でハラヘッタ!」
「だーかーらー!失礼な態度取るなっての!」
「ブヘッ!?」
2度目のツッコミ、今度はアルが吐血した。
「アハハハッ!」
「…何だよお前っ、ケラケラ笑いやがって!そんなに面白ぇーか!?」
笑い過ぎてか、アリルアは目尻の涙をハンカチで拭き取る。
「うん、私の周りじゃこんなに賑やかな人達はいないから…」
「そっか、王女様も大変なんですね。」
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