第1話ー【紅の少年】ー

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バタンッ。 扉の閉まる音が、2人から兵士を遠ざけた。 「た、助かったぁ~!」 「ぁ、ありがとう。あなたは…」 そうレイが聞こうとして、思わず声が詰まった。 「おっ、王女様…!?」 「…………。」 純真無垢でこちらを見る彼女は、恐ろしい程に美しい。 色の入った髪を持つ人がこの国では多い中で、珍しい黒髪。民達の間で黒髪に染めるのが流行った時期があった程だ。 「あ、昼間の。」 「ん、俺?あぁ、そう言えば‘‘お前”父さんと一緒にいたっけか?」 「こらっ!王女様に向かって‘‘お前”なんて失礼でしょがっ!!」 「ほげっ!?」 パカーンと叩かれたアルはコメディチックに叫ぶ。 「フフフっ、楽しい人達。」 「「?」」 クスリと笑うその所作でさえ、上品だった。 「アリルア 、だっけか?何か美味しいもん出してよー、俺緊張でハラヘッタ!」 「だーかーらー!失礼な態度取るなっての!」 「ブヘッ!?」 2度目のツッコミ、今度はアルが吐血した。 「アハハハッ!」 「…何だよお前っ、ケラケラ笑いやがって!そんなに面白ぇーか!?」 笑い過ぎてか、アリルアは目尻の涙をハンカチで拭き取る。 「うん、私の周りじゃこんなに賑やかな人達はいないから…」 「そっか、王女様も大変なんですね。」
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